2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第一章初等整數論 §2最大公約數,最小公倍數(中編)

前回は,2つ以上有限個の,0でない整数の公倍数は最小公倍数の倍数であること[定理1.3]と,2つ以上有限個の,すべてが0ではない整数の公約数は,最大公約数の約数であること[定理1.4]を証明しました. それでは読んでいきましょう. 次ノ定理ハ二ツノ整數ニ…

第一章初等整数論 §2最大公約數,最小公倍數(前編)

前回は整除法について確認しました.整数と正整数に対して, を満たす整数が一意に定まります.のとき,を最小正剰余というのでした.また, を満たす整数が存在します*1.このときのを絶対的最小剰余というのでした. では読んでいきましょう. 1. 二ツ以上…

第一章初等整數論 §1整數ノ整除(後編)

前回はの倍数の和や,の倍数の倍数は,の倍数であることを証明しました. 次ノ定理ハ基本的デアル. [定理1.2] ハ任意ノ整數デ,ナラバ, ヲ滿足セシメル整數ガ唯一組ニ限テ存在スル. 除法の原理ですね.例えばとすると を満たすの組はの唯一つです.これを…

第一章初等整數論 §1整數の整除(前編)

序文によれば,有理整数(有理数であって,整数であるもの)だけで考察できるのが,第一章なのでした. 1. 本章デハ整數ノ整除,倍數,約數ナドニ關スル最モ卑近ナル理論ヲ述ベル. 整除というのは,いわゆる「割り切れる」というやつです.倍数,約数はさす…